介護業界が抱える問題

国が推奨する働き方改革は、特に介護職に必要な施策と言えるだろう。介護業界は離職率が高いというのが通説となっているが、実は減少傾向にある。それでも人材不足に悩む施設は半数以上だ。この要因は、介護が必要な高齢者の増加比率が高いことが第一になっている。

仕事を辞めたいと考えている介護職員の背景には、人材不足による労働負担がかなり影響しており、働き方改革の重要性が増している。その証拠に、介護職に多い悩みの代表が「人手不足」になっており、「仕事内容が給料に見合わない」「有給休暇が取りにくい」「休憩が取りにくい」が続く。しかも、3番めや4番目に続く悩みの原因も、実は人で不足に起因しているようだ。そのため、介護職の人手不足を解消するための施策や、悪循環を解消して労働環境を良くする工夫をしなければ、介護職の離職問題は解決できないだろう。

ちなみに、介護職の給料については、国が国民から集めた介護保険料から出ているため、賃金アップは簡単にいかない。そのため、施設が利益を出し、賃金アップを図る最善の方法としては、保険内介護サービス以外にも有料サービスを提供することが挙げられる。このような介護サービスの提供を混合介護といい、メリットは職員の賃金アップだけでなく、個々の生産性が上がることだ。ただし、有料サービス料を支払えない人との間に介護格差が生まれるという点や、自立支援という本来の介護理念に反する点などが問題視されており、まだまだ全ての介護施設が導入しているわけではない。